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「へえ、綺麗な体してるね」
九鬼の視線を感じて、百瀬はベルトを外す指を止めた。
「細すぎず太すぎず。筋肉も付きすぎてなくて、僕の好みだなぁ」
動きを止めたまま、その先を躊躇っていると、「続けて」と九鬼の声が掛かる。皮膚の上に九鬼の視線を感じながら、ズボンを脱いだ。最後の一枚は他のどの衣服より、脱ぎ捨てるのに時間が掛かった。
(全部、見られてる……)
そう思うと顔を上げることすら恥ずかしかった。皮膚の表面がびりびりして、指先が震える。心臓は痛いくらいに鳴っていた。
「あれ、それでおしまい?」
居た堪れない気持ちで立っていると、笑いを含んだ九鬼の声が耳に届く。
「後ろのベッドに座っていいよ」
優しい声が逆に怖かった。
百瀬はダークブラウンのシーツの上にそろりと腰を下ろした。太ももや臀部に直に触れる滑らかな絹の感触が落ち着かない。
羞恥で脳が焼けそうになりながら、百瀬は目を閉じた。そして重力に従順な己の分身を掴み、ゆるゆると扱き始める。
(恥ずか、しい……)
「そんなんじゃ抜けないでしょ? ドMだから自分に焦らしプレイしちゃうの?」
からかいの声に顔が焼ける。羞恥のあまり涙が滲んだ。
「っ、ぅ」
さっきより強く握り込み、分身を慰める。人がいる前で。九鬼が見ている前で。
「ねえ、全然見えないんだけど」
涙に潤んだ瞳で、百瀬は恐るおそる顔を上げる。
「足、立てて開いて。僕に見えるように」
縋るような気持ちで見つめても、九鬼は許してくれない。唇を噛み、言われた通りに足を開いた。
(あ、……嘘だ……)
恥ずかしくて死にそうなのに、気付くと手の中の百瀬は熱くなっていて、もしかすると九鬼の言う通り自分には妙な性癖があるのかもしれないと思った。
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