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「ぅ、っ、く……ンッ」
「怖いならやめてもいいけど」
九鬼は指を引き抜いてそう言った。百瀬はシーツに顔を埋めたまま、肩で息をしていた。与えられていた刺激と襲い来る羞恥と恐怖に震えが止まらない。それでも答えは決まっていた。
「……い、れて」
とてもじゃないが九鬼の顔は見られなかった。
九鬼の反応がなくて、じわじわと別の怯えが百瀬の中で広がる。掠れた声では九鬼に伝わらなかったのかもしれない。そう思ってゆっくりシーツから顔を上げようとした瞬間、腰を引き寄せられた。
「っ、あ!」
馴らされた場所に自分とは違う体温を感じて、構える暇もなく、それは入口を押し広げて、みちみちと内部へと侵入をしてくる。
「ぅ、あ、ぁアッ」
指とは比べものにならない圧迫感に、百瀬はシーツに爪を立てて呻いた。繋がったそこが焼けるように熱い。
「っ、……力抜いて。息、止めないで。深呼吸」
九鬼の声がわずかに苦しそうに聞こえた。自分がこれだけ力んでいては、九鬼も気持ちがいいはずがなかった。自分の痛みより何より、百瀬はそのことが怖くて堪らなかった。だけど言われた通りにしようとしても、体がいうことをきかなかった。うまく力を抜くこともできないし、呼吸も浅く間隔も短いままだ。
(どうしよう、なんとかしないと……)
「ぅ、……ぁ、ご、めんなさ……ぃ」
百瀬はシーツに顔をこすりつけながら謝罪をした。そして自らの双丘に両手を伸ばすと、そこを拡げるように柔らかな肉を掴む。
「おねが……っ、ゃめ、ないで……っ」
つまらない。気持ちが良くない。そう言って九鬼が行為を中断するのではないかという恐怖に百瀬は泣き出しそうになった。そこが緩むように指で押し拡げ、どうにか九鬼に言われた通りに深呼吸をしようと試みる。
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