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「……まったく」
九鬼の呆れたような声が聞こえて、百瀬はぎくりと身を硬くする。しかし、百瀬の恐れた事態とは逆に、九鬼は百瀬の腰を抱え直すと、激しく腰を打ちつけた。
「あ! ぁっ」
猛った九鬼自身が、百瀬の内部を容赦なく抉る。
「動きに合わせて自分で擦ってごらん」
九鬼の指が双丘を掴んでいた百瀬の指を外させ、百瀬の分身を握らせた。九鬼の指は百瀬の手を掴んだまま前後に動く。
「ぅ、ァ、……ん」
百瀬は九鬼に促されるまま自らを扱いた。
「そのまま続けてて」
九鬼はそう言って百瀬から手を離す。九鬼の手が離れても、百瀬は自身に刺激を与え続けた。
「そう、上手」
からかうような九鬼の言葉が耳にこそばゆかった。それでもその声に励まされ、百瀬の手は速度を増す。手の中の分身は少しずつ形を変え始めた。
「んっ! ぅっ」
不意に九鬼の屹立が内部のある場所を擦ると、背筋に甘い痺れのような感覚が走り抜けた。肌が粟立ち、ひとりでに内部がうねる。今までに感じたことのない感覚だった。
「っ、……おっと」
すると九鬼が息を詰めて、少し焦ったような声を上げる。
「なかなか感度いいね。開発のしがいがありそうだ」
笑いを含んだ声に、百瀬は背後を振り向いた。九鬼の言葉の意味はよくわからなかった。けれど九鬼が嬉しそうな顔をしているのを見つけて、百瀬の胸が騒ぐ。
「っ……俺の体でも、ン、……きもち、いい?」
緊張しながら訊ねた。
「気持ちいいよ」
微笑を浮かべた九鬼の答えに、百瀬の表情が綻ぶ。
「……良かった」
ほっと安堵の息を吐く。すると九鬼はぴたりと動きを止めた。
「九鬼さん?」
百瀬は不思議に思って名前を呼んだ。何か失言をしてしまったのだろうかと心配になる前に、九鬼は「やりにくいから、前向いてて」と答える。
「あ、……ごめんなさい」
百瀬は慌てて前を向き、言いつけられた通りの行為を再開した。
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