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「優しく丁寧に拭いてあげるから、じっとしててね」
「ひっ」
耳元に唇を寄せて九鬼が囁く。吹き込まれる息に、百瀬はまたもや反応してしまう。九鬼も再び小さく笑った。
熱めのお湯を絞ったタオルで肌を拭われると、さっぱりして気持ちが良かった。背中、腕、脇腹。九鬼は宣言通りに隅々まで丁寧に拭いていく。九鬼は上半身を拭き終えると前に回り、百瀬の足を掴んだ。
「拭きにくいから寝てくれる?」
「いや、でも、下は自分でも拭けるし……」
恥ずかしくて、百瀬が遠まわしに拒否すると、九鬼は面倒臭そうに荒い息を吐いた。
「往生際が悪いなぁ」
「ぅ、わっ」
強引に足を引っ張られ、百瀬はそのまま滑るようにベッドの上に倒れ込んだ。
「初めての時だって、僕が全部拭いたんだから今更でしょうが」
「っ! でも、あの時は俺寝てたから。起きてたら恥ずかしい」
「だからイイんじゃない」
九鬼はけろりと答えて、百瀬の膝頭に口付けた。
「暴れないでね」
レンズ越しの瞳が見るからに愉しそうで、九鬼の目的は最初からこれだったのだと百瀬は今更ながらに気付いた。
つま先からふくらはぎを優しく拭き取り、内腿は繰り返し何度も行き来する。敏感な場所を撫でられ、徐々に中心に熱が篭っていくのを百瀬は感じていた。
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