第4章

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「九鬼さん」  焦ったように名前を呼ぶが、九鬼は何も気付いていない様子でそれを流した。 「あのっ、もう、いいから」  すると九鬼は動きを止めて、「そう?」と首を傾げる。終わりそうな気配に百瀬がほっと力を抜いた瞬間、目の前の男はにっこりと笑いながら口を開いた。 「じゃあ最後の仕上げ。ココ、ちゃんと綺麗にしとかなきゃねぇ」 「っ!」  九鬼の指が百瀬の最奥を撫でる。 「いい、いらないっ」  これにははっきり拒否した百瀬だったが、九鬼が引き下がる訳がなかった。 「だ―め。だって、出しちゃったでしょ? 中で」  瞬間、百瀬の全身が真っ赤に染まる。九鬼は満足そうに笑みを深くした。 「ほら、自分で膝持ってて」  情けない表情で首を振る百瀬にも、九鬼は容赦しない。 「早く」  その声がさっきより少し低くなったような気がして、百瀬は身を強張らせた。数秒逡巡して、結局言われた通りに仰向けの状態で自分の両膝を持ち上げた。 「……恥ずかしい」  消え入りそうな声で呟く。 「恥ずかしいの好きなくせに」  揶揄する声に頬が火照った。 「好きじゃない」 「どうだか」  九鬼の指が百瀬の入口をなぞり、やがて侵入してくる。 「んっ、く」  百瀬のそこは難なく九鬼の指を受け入れた。当たり前だ。一時間程前にはそれよりずっと大きな質量を飲み込んでいたのだから。
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