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「今日は百瀬くんから仕掛けたんだから、百瀬くんからして欲しいな」
寝室へ移動して、ベッドの淵に腰を下ろした九鬼はそんなことを言い出した。
(俺から、するって……)
一体、何をすればいいのか。視線で問い掛けると、九鬼は思案するような素振りを見せてから答えた。
「うーん、そうだなぁ。フェラして最後は上に乗ってくれる?」
九鬼はにっこり笑いながらそう言った。
言われた言葉に驚きと羞恥で硬直していた百瀬に、九鬼は間を置かず続ける。
「……なーんて、冗談だよ。で、どうしたの? 何があった……」
百瀬は九鬼の言葉を遮るように、ネクタイを解いて床に捨て、シャツを脱ぎ始めた。
「百瀬くん?」
訝るように名前を呼ぶ九鬼を無視して、百瀬は衣服を全部脱いだ。すべてをさらした時には、九鬼の顔から笑みが消えていた。
「……おい、ちょっと」
九鬼の傍まで近付き、脚の間に跪く。ズボンのウエスト部分に手を掛けたところで、その手を掴まれた。
「どうした?」
真剣な表情に胸が騒ぐ。たとえ百瀬の気の所為だとしても、気遣うような視線に、泣きたくなった。
(どうしよう。本当に好きだ、この人のことが……)
誰にも盗られたくない。ずっと傍に置いて欲しい。その為なら、きっと自分はなんだってする。
「したい……」
百瀬は九鬼の膝の上に手を置いて、その顔を見上げた。
「お願い……、しちゃ駄目?」
九鬼は驚いたように双眸を軽く見開く。
(九鬼さんが望むなら、喜んでくれるなら、俺はなんでもする……全部、さらけだす)
懇願するように見つめると、九鬼はやがて諦めたように息を吐いた。
「いいよ。……じゃあ、してくれる?」
百瀬は無言で頷いた。
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