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「ちょっと待って」
九鬼は一旦立ち上がり、百瀬同様に着ていた物を脱いだ。再びベッドの淵に腰掛けると、促すように百瀬の頬を手の甲で撫で、唇を指先で突いた。百瀬はこくりと喉を鳴らすと、わずかに形を変え始めている九鬼の分身を恐々と掴む。初めて指先に触れる熱と感触に指が震えた。ゆっくり顔を寄せ、先端に舌を這わせてみる。もちろん未知の行為だった。
「ン……っ、……は、ぁ」
「うん……、そう。唾液絡めて」
柔らかく自分の髪を梳く手のひらに励まされて、百瀬は九鬼を口内に迎え入れた。歯が当たらないように気を付けて、刺激を与える。拙い技巧に九鬼が白けてしまわないように、百瀬は舌や唇で懸命に愛撫した。
「ぅ、……ン、……んん」
九鬼の楔が徐々に体積を増していくのを直に感じる。
(よかった……九鬼さん気持ちよくなれてる?)
もっと気持ちよくさせたい一心でさらに奥へと咥え込んだ。唾液をまぶし、それを啜るように音を立てて吸い付いていると、不意に九鬼の手が百瀬の頭をぽんぽんと叩いた。
「もういいよ、ありがとう」
百瀬は顔を上げて、呆然と九鬼を見つめた。やはり気持ちよくなかったのだろうか。表情から百瀬の感情を悟ったのか、九鬼は困ったように笑った。
「乗ってくれないの? このままだとイっちゃうから」
「……うん」
百瀬は不安げな表情のまま頷いた。
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