夏が来た日

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夏が来た日

もうすぐ。 もうすぐ。 我が家にやって来るーー。 「ただいまー!」 勢いよく玄関の扉を開け、家に駆け込む。 「おかえり、アキ」 リビングにいたお父さんが返す。 10月生まれ、秋生まれの、秋恵。 それが私の名前。 大抵みんな『アキ』とか『アキちゃん』と呼ぶ。 「アキ、早かったね」 「今日は終業式だけだから。それより、まだ?まだ来てないよね?」 「うん、ちょうどさっき電話があったよ。今タクシーに乗ってこっちに向かってるところだって」 「よかった~間に合った~」 「走って帰って来たの?暑かったでしょ」 そう言ってお父さんは冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注いで手渡してくれた。 「ありがと」 コップを受け取り、冷たい麦茶を一気に飲み干すと 「待ちきれないから外で待ってる!」 そう言って、私は再び外に出た。
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