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この坂に来ると、きまって君のことを思い出す。
君は時に明るく、時に淑やかで、とても可憐だった。
君は、先日とうとう逝ってしまった。
その瞬間まで、君は君のままでいてくれた。
僕は──
ここで君のことを思い出すのは、たぶん、君がここにいるからなのだろう。
君は陽炎にでもなっているのかな。
あのひどく不安定なゆらぎの中で、ずっと僕を待ってくれているのかな。
毎日は無理だけど、できる限りここに来るよ。
じゃあ、また今度。
──陽炎がゆらりとゆれた気がした。
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