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「…ねぇ、ユウヒちゃん。
どうしてユウヒちゃんは、僕の前に現れたんだい?
あの時の…小学五年生の時の僕とユウヒちゃんは、仲が悪いとまでは言わなくても、そこまで仲が良かった訳でも無かった筈なんだ。
他の小学校の友人からユウヒちゃんを見たっていう話も聞いていないし…。
…本当に、どうして僕なんだい?」
「…」
「……もしかしてユウヒちゃんは、僕に…あの時君を助けられなかった僕に、罰を与える為に…」
「私は、リョウ君が、大好きだったの」
女の子は…ユウヒちゃんは、狐のお面を取る。
ああ。ああ。
何もかも変わらない、ユウヒちゃんが、
時が、あの時からずっと止まってしまったかの様に、
全てが変わらないユウヒちゃんが、僕に、微笑んでいた。
「…………え?」
「私は、リョウ君が好きだったから。
だからずっと、ずっと、待っていたの。
リョウ君に、大好きって、伝える為に」
「でもっ!
…でも、ユウヒちゃんはあの時…誘拐される時、確かに僕を見ていたっ!
あんなに悲しい目を、僕は今まで見た事が無いよ…!」
「うん。
…私が連れ去られる時、たまたまリョウ君が見えて。
…リョウ君だけでも、こんな目に合いません様にって、そう祈ったの。
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