慰魂祭

6/14

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 鈴の音が響く中、  一瞬、  一瞬だけ、  ユウヒちゃんと僕の目が合った。  その目は、恐怖に怯え、  僕を、  何も出来なかった僕を、責める目。  …かつて僕は、ユウヒちゃんを殺しました。  殺したんです。僕が。  助けられたのに。  僕に、あと僅かでも勇気があれば、助けられたのに。  …ユウヒちゃんを殺したのは、僕なんです。  僕が…僕が…。 「僕が…僕がユウヒちゃんを殺したんですっ!」  ポトリ、ポトリ、涙が落ちる。  泣くな。  今の僕に、泣いて良い権利なんか無い。 「昨日、お祭りでユウヒちゃんに会いました。  ユウヒちゃんは僕に罰を与える為に、死者の国から戻って来たんです。  あのお祭りは、そういうお祭りだから…」  拳を固く握る。  ユウヒちゃんのお母さんの顔は見ない。  見れる訳が無い。 「謝っても許される事で無いのは重々承知しています。  だとしても…だとしても、僕は…僕は…!」  言葉が続かない。  僕は…僕はいったい、何を言えば良い?  許して下さいと懇願する?  罰を下さいと懇願する?  それとも、それ以外の何かを欲する?  何を言えば良いのか分からない。  僕は、  僕は、どうすれば良い?  教えてくれ。  教えてくれ、ユウヒちゃん…!     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加