1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
もう一度レバーを引き、コルクを詰め、狙い、引き金を引く。
当たった。
落ちない。
もう一度。
もう一度。
もう一度。
「…すいません。もう一回…」
「――――♪――――♪」
女の子は嬉しそうにぬいぐるみを抱き抱え、うきうきと歩いていた。
ぬいぐるみを取るのに五千円使ったけど…ま、こんなに喜んでもらえるなら軽い代償だ。
なんて事を、チョコバナナを頬張りながら思っていた。
手は、ぎゅと、繋いだまま。
…そうこうしているうちに、縁日の終わりが見えた。
このままUターンして、もう一度縁日を見て回るかー…。
そんな事を考えていると、バーーーーンという轟音が響いて、
屋台が、色とりどりの光に照らされた。
このお祭りではいつの頃からか、最終日に花火を打ち上げている。
そっか、もう花火が打ちあがるそんな時間になったんだ。
「…………、…………」
と、不意に女の子が僕の手を引いて、どこかへと歩き出す。
僕は、女の子が導くまま、森の奥をどんどん進んで行った。
森の奥、辿り着いたそこは、ぽつんと、ぽっかりと開けた場所。
花火の多彩な光が、そこに差し込んでいる。
女の子は手を引いて、その場所の中央へ僕を誘導し、上を見上げる。
僕もそれに習って、上を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!