夏祭りの夜に

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たぶん、ショックだったんだと思う。 好きな相手にフラれたことも、好きな相手があんな暴言を吐くような人間だったことも、そんな人間だと見抜けずに好きになってしまった事実も。 確かに、あたしはブスだ。 目はちっさくて、左右対称じゃないし、鼻は低くて、そばかすまである。唇は明太子みたいに厚ぼったくて、歯並びだって良くないし、あごはなんだかエラが張っている。おまけに部活のし過ぎで小麦色というよりも黒い肌。七難の隠しようがない。だけど、あんな風にいうことはないんじゃないか。仮にも、誰よりも仲の良い、友人ではないか。...そう思っていたのは、あたしだけだったのかもしれないけど。 だけど、何故だか、涙は出ない。 代わりに、生きる活力を吸い取られたように、何にもやる気が起きない。 たまたま今は、練習場所の簡易工事の関係で部活が休みだからいいけど。部活が始まったら、また、結機と顔を合わせなければならない。それを考えるだけで、心が重たいような気がするから、たぶん、あたしは憂うつなんだろう。 シーネシネシネシネシネシネ... 蝉の音が、部屋に響き渡る。
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