夏祭りの夜に

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当日、言ってみて、母の言っていたことがよくわかった。 「本日、お手伝いに来ました、守山里織と言います。よろしくお願いいたします。」 「...しく。」 低い声。ボソボソと話すから、余計に聞こえない。色が白くて、切れ長の目で綺麗な顔をしてるんだろうけど、ずっとブスッとしているからとても感じが悪い。そして何より、あたしと全く目を合わそうとしない。 上谷将人(かみやまさと)という名前は、五回聞き直してやっとわかった。 「お客さんが来たら、対応したらいいですか?」 黙って頷く上谷さん。 あたしは、会話をするのを諦めて、自分の仕事に集中することにした。
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