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「へぇ~、あなた少し覚えてるのね」
「覚えてる?」
不意に意味のわからないことを言うので俺は少し混乱した。
「夏よ」
僕は何故かその言葉を聞くと、心臓が勢いよく飛び出す感覚に陥った。
「な、夏?」
その言葉を初めて聞いた、初めてのはずなのに、なんでこんなにも懐かしいんだ。
「世界から夏は消えた」
なんだ?この女の人はさっきから何を言って...
「夏って...なんだ?」
「あなたが欲してるものよ」
俺が...欲してるもの?
俺は日々退屈を覚えていた、その原因はその『夏』ってのに関係しているとでも言うのだろうか。
「あなたにそれを取り戻す覚悟はある?」
彼女は俺の瞳の奥まで見据えて、心まで読まれている気がした。
それを取り戻すと世界は変わる...いや元に戻る?
この世界は退屈になった。それを取り戻すためなら俺はなんでも...
「ああ」
俺は力強く頷いた。
「そう」
彼女は俺から視線を逸らし、広い海を眺めた。
俺もそれに従って眺めると、そこには『海』があった。
途端、額から汗が流れ始めた。
温泉に使ったような暑さが込み上げてきた。
俺は驚愕し、横にいる女の人を見ようとした。
しかし、そこには女の人はいなくて代わりにあったのは『夏』だった。
夏が来て、水着のお姉さんが現れた
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