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歩く度に砂浜が俺の足を奪ってくる。
足を止め、目の前に無限に広がる海を眺めた。
周りからは波の音以外なにも聞こえないので、神秘的な場所にいる感覚に陥る。
俺、なんで海なんか見に来たんだろう。
またこれだ。
自分がした行動に意味が分からなくなる。
「やっぱ海は眺めるのが1番ね」
不意に声がして俺は横を見ると、いつのまにか俺と同じように海を眺める女の人がいた。
彼女もこちらを向くと目が合った。
「ねぇ、あなたもそう思うでしょ?」
俺はすぐに返答はしなかった。
俺は彼女の顔から目を逸らし、再び広がる海
を見た。
「わからない、多分俺は海を見に来たんだろうけど...なんかそうではない気がするんだ」
自分でも何を言っているのかよく分かっていなかった。
「わからない?海は眺めるため、魚を捕まえるためだけにあるのよ?」
確かに彼女の言う通りだった。海は眺めるもの、魚を捕まえるためでしかない。その他に海の娯楽なんてない。
ないのに...なんでだ...なんでこんなにも...
寂しいんだ
「確かにそうだな、でもなんで俺はこんなにも寂しいんだ、なにか、なにかが足りない気がする」
こんなことを彼女に伝えても、変に思われるだけだろうと思っていたが、口に出さずにいられなかった。
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