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そう言って私の主人は家に帰ってしまわれた。
(まさかこんな近くにいたとは…)
主人が1人で遊びに出かけたことに気がついた時には遅かった。
帰りが遅いから町中を探し、ほかの猫達にも探させたが、何しろこの暑さだ。
無理を言う訳にもいかず、私でさえも
倒れかけていたところ、目の前に喋る雪だるまが
現れるとは…。
(…思えばあの雪だるまはよく身を捧げる覚悟を
してくれたものだ。)
生きているものならば生に対し多少の執着は
あるだろうに…と私はそう考えつつ
今は何も無い後ろを振り向く。
(なんにせよ主人が助かってよかった。
主人に代わって礼を言わせてくれ…
ありがとう、名も無き雪だるまよ。)
私はそう思い、頭を下げると
振り向き主人を追って歩き出した。
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