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顔を全力でしかめるのは仕方がないことかと。仕方がない。むしろ毎年毎年これに付き合う私を誉めてほしい。
田舎の祖母の家。平屋の庭付き一戸建て。
ちりんちりんと風鈴が揺れる。
大自然の山々が青々と生きてるその景色を背景に。
坊主頭のいとこは言った。
「ねーねーねーねー!浮き輪で首吊りできるよね!これにくっついてる紐をどっかにかけたらぷらーんって」
「その前に浮き輪の方が力尽きるわばか。どうせ苦しくてもがいたつめやらなんやらでぱーんだよ」
「おれもがかないもん」
小学生低学年の風物詩。“お”がやたら高く上がるおれの一人称がくそいらいらする。
セミも鳴く。いらいら三倍。
ああ夏が来た。
毎年毎年ばあちゃんの家に泊まりにいく恒例行事。そこには当然いとこのこいつもいて。
そして毎度毎度同じことを言うのだ。
ああ、だれか私を誉めてくれ。毎年毎年毎年。この死にたがり小学生の相手をする私を。
小さく音が鳴った。物悲しく余韻を引いて。
手を合わせたばあちゃん。
縁側を見た。
「………。……もう五年もたつのにね」
悲しそうに皺を刻んで。
ばあちゃんのその顔を見るのはおれだって辛い。
だからこの悲しそ
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