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むき出しのふくらはぎにササくれだった畳がチクチク刺さる。
夏の日光は部屋の中にまで差し込んで、ジワジワと肌を焼いていく。
アヤは寝返りを打って身体を反転させ、畳のチクチクと凶悪な紫外線から逃れた。
「あんた、いつまでゴロゴロしとんの?」
生産性のない三十路の娘に、母親は容赦ない。
「久しぶりに帰ってきたかと思ったら、一日中なんもせんと寝くさって…」
「……」
「仕事はええの? もうお盆も過ぎたっていうのに、いつまで夏休みなん!?」
「……」
「あんた、リストラされたんとちゃうやろな?」
「……」
「もう30やねんから、こっち帰ってきて結婚でもしたらええんちゃうの?」
「……」
「ほら、あんたと仲良かったリエちゃん、今度2人目が生まれるらしいで」
リエ……。アヤは子供の頃から仲が良かった親友の顔を思い浮かべた。
とっくに結婚して、今は子育てと旦那の仕事の手伝いに追われているはずだ。
学生時代は毎日のように一緒にいたというのに、もう何年会っていないだろう?
結婚式にも呼んでもらっていたのに、結局行けなかった。
「あ~あ、わたしも早く孫の顔が見たいわぁ」
……あぁ、もう…うるさい……
「ちょっと出かけてくる!」
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