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齋藤さんと他愛もない話を少しだけして、電車の時間が近づくと、齋藤さんから話を切り上げてくれる。俺は放っておくと電車を逃してしまうのでありがたいと言えばありがたいが、名残惜しさも募る。
「いってらっしゃい、熊谷さん。暑いので体調にお気をつけて」
「いってきます、齋藤さんも気をつけて」
そんな会話すら愛おしいと感じてしまう。いってらっしゃいの言葉がくすぐったくて、今日も一日頑張れそうな気がしてしまう。
年甲斐もなく、また恋をしてしまったような。
気恥ずかしさに顔を上げると、憎らしい青空が俺を笑っているようだった。
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