7人が本棚に入れています
本棚に追加
*
数年ぶりに帰ってきたこの町は相変わらずの田舎町で、忙しなかった都会での生活を忘れさせてくれるようだった。
夫を亡くして実家の豆腐屋を継ぐことにして、数週間。夫を亡くした悲しみはまだ忘れていないと言うのに、自分の軽さに腹が立つ。
ごみの日の午前8時、いつも恨めしそうに青空を見ながら歩く彼の姿に、なぜか見惚れてしまった。
営業マンであるという彼は一見すると強面で近寄りがたいが、「おはようございます」と声を掛けるとふわりと笑ってくれる。
その笑顔に、私は強く惹かれてしまったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!