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月曜日とはなぜこうも気怠く、憂鬱になるのだろうか。
藍田悠は高校生だった。だから、いまは学校へ向かっている最中だった。もう何年も学生という職業を全うしているが、朝が得意になることはなぜかない。なれる気もしない。特に月曜日のこの億劫さはいつまで経っても拭えないばかりだ。ただ幸いなのは、今日の天気が晴天だということ。穏やかに晴れ、爽やかに吹く風が心地良い。まだ初夏を迎える前のこうした日本晴れは清々しかった。これがもし雨だったならば、尽(ことごと)く気が滅入ってしまっていたはずだ。傘を持っている場面を想像するだけで気が沈みそうになる。人はつくづく天候に影響され易い生き物である。
藍田は道中、携帯電話を取り出した。そこにはいつも通り『今日も頑張ろうね』といった内容のメッセージが入っていた。相手は彼が最も想う女性(ひと)からだ。
『うん。梨乃ちゃんもね!』と彼女の名前を入れて返事を返す。梨乃ちゃんというのが、藍田が彼女に対する呼び方だった。
この連絡のやり取りはすでに日常的に化していた。送るタイミングも、その内容も、大した違いはないこそすれ、一日一日を過ごす上で欠かせないものであった。どこへ行くにも何をするにも二人は意思疎通をする。逆にメッセージが来なければ不安になるし、すぐに押し潰されそうになる。
つまるところ藍田は独占欲が強かった。しかしこんなにも強いそれをはっきり感じたのは彼女が初めてのことだった。些細なことだとわかってはいても、強い焦燥に陥り、余裕をなくしてしまうことに最初は他でもない自分自身が当惑した。過去に女性関係がなかったわけではない。今時の高校生ともなれば、既に恋愛の一つや二つはすでに経験している。藍田は理解力があり、女性からのわがままも愛情の一つとして捉えることができる寛容で優しい性格だった。
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