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「悪いが負ける気はしないぜ」 「確かに良いチームワークだった。ありゃ一筋縄じゃいかんだろうな」  藍田は眉を顰めた。賞賛こそしてはいるが、佐藤の言葉は不穏な響きが孕んでいた。負けるつもりはない、そういう風に嘯いている気がした。  佐藤は立ち上がり、泰然とした視線を藍田に向ける。  ――宣戦布告。藍田はその眼差しの意図を理解した。居住まいを正し、彼もまた表情を引き締める。その声ならざる宣言に応えるように。 「佐藤」 「またな、藍田」  藍田の表情を検めて、それで満足したのか佐藤はそれだけを言い残して去って行った。  佐藤潤。奴のクラスの実力をいま推し量ることはできないが、彼がいるという理由だけで油断ならない。だが、何より――  佐藤と勝負ができるというその実感が、藍田の中で沸々と沸き起こり彼をみるみる滾らせつつあった。  最初はさして興が乗らなかった球技大会だったが、もはや事情が変わった。佐藤の言う通り、確かに面白くなりそうだ。
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