九死に一生を得る

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「刑事さんの事情聴取を受けられますか?」 「あ‥‥はい。大丈夫です」  医師は頷くと、病室のドアを開けて、刑事さんと入れ替わりになった。 「刑事課の林です」 「同じく、森です」  写真付きの警察手帳を開いて見せられる。 「結城です‥‥あの、宮野さんは?」 「現在、逃走中です。乗り捨てられた自転車の防犯登録から身元が判明した所です」 「返り血塗れの犯人を家に招き入れたのは何故ですか?」  林刑事の後に、森刑事に尋ねられた。 「インターホンのカメラでは分からなかったので‥‥」  私は、首を横に振った。 「不躾では有りますが、犯人の宮野とは恋人関係でしたか? こうして被害に遭われているので共犯では無いと思いますが」 「違いました‥‥けど、その場で告白されました」  林刑事の問いに、ゆっくり首を横に振りながら答えた。 「では、それを拒否したから被害に遭われたと?」 「違います。私の返事を待たず、ナイフで切り付けられました」  森刑事の問いにも首を横に振る。
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