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入院生活
「麗奈! 良かった‥‥」
涙を滲ませてる、この女性は。
「お母さん」
「いつ、意識が戻るか分からないって、お医者さんに言われて心配してたのよ。意識が戻れば、後は傷が癒えるまで、入院するだけって、必要な物があったら持ってくるからね」
涙を拭って、色々と世話を焼き始める。
「犯人、まだ捕まってないんでしょ。怖いわねぇ‥‥絶対に会っちゃダメよ。傷痕は目立たない場所だっのが幸いだわね」
確かに、整形で傷を消す程でも無い傷痕‥‥宮野さんが、私に残した傷痕。
傷の深かった私は、約一ヶ月入院していた。
「結城君、災難だったな。真面目で有給も貯まっているから、ゆっくり休みなさい」
会社の上司や同僚が、何度も見舞いに訪れた。
テレビのニュースで、指名手配された宮野さんは、まだ捕まっておらず、被害者を増やしている。
【続報です。被害者は、警官・自衛隊を含む666人に上りましたが、幸い死者は出ておりません】
やはり、可笑しい。
日本の警察が、自衛隊まで動員して、一般人の宮野さんを捕まえられないなんて。
そして、5月になり、漸く退院できる事になった。
私の元に、宮野さんは現れなかった。
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