185人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「そうだな。あのレベルの顔面偏差値求められてたら俺は勝てねえ」
「いいじゃん、私のタイプなんて聞いてどうするの」
「そういう話しないからだよ。茉白って恋バナしないじゃん。まさか興味ないってわけじゃないよね？ 彼氏いたことはある？」
「…………」
一瞬、瞳を泳がせた私を明歩は見逃さなかった。
「あるんだ」
「な、ないよ」
「なんで隠すかなあ。どんな人だった？ 写真ないの？ 写真！ 同中？」
「お、落ち着いて」
大丈夫。柚木くんとは同じ中学ではないし、私たちが付き合っていたことを知っているのは、多分いない。なんだか恥ずかしくて誰にも言わなかったからだ。それに、柚木くんは人気があったから私が彼女なんて知れたら何を言われるかわからなかったから言えなかったというのもある。
「ご想像にお任せします」
「ずるーい！ 浅野くんも気になるよね」
「まあな。気にならないって言ったら嘘になるけど。知ったら知ったでショック受けるかもしれないからいいや」
「意外と乙女なんだね、浅野くんって」
「うるせーよ」
きっと、明歩も柚木くんと私のことを知ったらショックを受ける。だから、やっぱり最初に紹介されたときに言わなかったのは正解だった。
「さっき、ああ言ったけど、やっぱ気になる」
最初のコメントを投稿しよう！