3.新しい恋

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 まだだいぶ空気は湿気を孕んでいるが、やはり太陽の下でお弁当を広げるのは気分がいい。明歩たちも中庭に来るかと思っていたが、今日は2人の姿は見当たらなかった。学食に行ったのだろう。  私たちは数少ない2人掛のベンチに腰を下ろし、 浅野くんは私のお弁当の3倍はありそうなお弁当箱を広げた。 「向坂たちいないな」 「学食行ったんじゃない?」 「俺、アイツ苦手だから助かった」  アイツ、というのは柚木くんのことだろう。 「ああ、浅野くん苦手だもんね」 「向坂の彼氏だから悪くいいたかないけど、苦手だ。なんつーか、トゲトゲしてるよな」 「それは私たちが邪魔したからだよ、多分」  別に擁護するつもりはないのだが、浅野くんは私の顔をじっと見てきた。 「な、何?」 「いや、アイツ感じ悪いけど、顔いいじゃん。茉白もかっこいいとか思ってんのかなって」  私は一瞬、口籠ってしまった。  だって、私は彼に一目惚れをしたくらいなんだから。それよりも 「……思わないよ。って名前で呼ばれるの恥ずかしい」 「間があった! 名前で呼ばれるの嫌か?」 「嫌じゃないけど、恥ずかしいの! それと人間、顔じゃないよ。私は浅野くんがかっこよくみえるよ。今は」 「今はってなんだ、今はって。茉白も俺のこと名前で呼んでみて?」  そこではたと気がついた。 「そういえば、浅野くんって下の名前なんだっけ?」 「は!? お前マジで言ってる?」     
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