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「だって、苗字でしか呼んだことないもん」
「……俊だよ」
はああと深いため息を吐いた浅野くんに「まあまあ。俊くんね、覚えた」と笑って言った。
「もっかい!」
「え? ……俊くん」
今度はお弁当箱に顔を埋めんばかりにして悶絶し始めた。
「やべえ。すげえ嬉しいかも」
「だから恥ずかしいって」
もう一回、もう一回! とせがんでくる俊くんに苦笑してから、大事なことを思い出した。
「それより、そろそろ期末の範囲出るよね」
「げ! 現実が……」
「浅……俊くん、勉強苦手っぽいもんねー。中間の時、補習受けてたでしょ」
「俺、スポーツ推薦でここ入ったからな。勉強は二の次、野球で結果出さないといけねえから」
「そっか。でも赤点ばっかりは流石に不味いでしょ。私と一緒に日曜日勉強する?」
「勉強は嫌いだけど、相……茉白とならいいかな」
いつもは物怖じなくストレートに物をいうのに、急に照れるところが可愛いと思う。照れた自分が恥ずかしいのか、俊くんは咳払いをひとつしてから続けた。
「期末が終わったら大会、それが終われば文化祭だな。茉白何になった?」
8組の出し物は、コスプレをして写真が撮れるフォトスタジオに決まった。
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