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けれど、どうしても気持ちがそわそわとしてしまう。
早く他の部員が来ることを心待ちにしながら座っていると冊子を読み終えた人たちが代わる代わるにアンケート用紙を提出してきた。
柚木くんは速読だ。
だからとっくに100ページほどの冊子など読み終えていてもおかしくないのに、さっきから同じページから指が動いていない。
そのうち、教室内には私と柚木くんの2人だけになってしまった。
空気が重い。
カタン――と椅子の引かれる音がして、思わずビクリと身体を硬直させた。
「これ、アンケート」
差し出されたアンケート用紙を手に取り「あ
、ありがとう」と辛うじて声を出す。
「じゃあ」
柚木くんが教室を出ていった後、アンケート用紙を見て、息が止まるかと思った。
それは、用紙の端の方に小さな文字で書かれていたけれど、そこだけが大きく目に飛び込む。
――向坂と別れた。
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