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2.日曜日のデート
それからすぐに季節は梅雨に入った。
「わ、相澤の髪の毛倍くらいに増えてねえか?」
「うるさいな。湿気で広がるの! 浅野くんはそういう悩みなくていいよね」
「おう、相澤も俺くらいにするか?」
「しないよ!」
そんな私たちのやり取りを明歩がニヤニヤとして見ている。
「なんかいい感じじゃん」
「そうだろ? 相澤が俺に惚れるのも時間の問題だな」
「はいはい」
あの映画を見た日の翌週日曜日は浅野くんに誘われて大きな池のある公園へボートに乗りに行ったのだが、あいにくの雨で、結局カラオケに行った。
浅野くんはイメージ通りのパワフルな歌声で、なんだか元気が出た。
彼は私に元気をくれる。彼といる時の私はずっと笑っているから最近表情筋を使いすぎて顔が痛いくらいだ。
告白をされたことは明歩には言っていなかった。
なので、彼の言動を多分冗談半分に捉えていると思う。
「そういえば、聞いたことなかったけど茉白ってどんな人がタイプなの?」
「え」
「あ、俺もそれ気になる!」
2人してキラキラと目を輝かせて私の答えを待っているから、適当に今人気のアイドルの名前をあげてみた。
「確かにカッコいいけどさ。そういうんじゃなくって性格とかさ」
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