驚愕
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驚愕

 「…………はぁ?」   朔は少し固まった後、ドスの効いた低い声で小馬鹿にするように言った。  朔は普段、男にしては高い、しっとりした声を出す。だからこんな声も出せるんだな。と俺は感心していた。  「下らないことを言うじゃん。愛なんて」  「そうですか?」  「そうだよ。愛なんて、本当に下らない!唾棄すべきものだ!」   吐き捨てるように叫んだ朔は、バンっと机を叩いた。  こちらを睨め付けるその目には苛烈な怒りを込めて。  また、ヒステリックを起こしているのかな。朔。  それとも俺が朔の琴線に触れるような事を言ったのか……両方かな。  何だかこんなに朔が取り乱すのをみても、俺の心は凪いでいた。  朔の行動の全てを受け入れようと思ったときから、ずっとこの凪は俺の心の大きな部分を掌握していた。  「まあ、今のうちだよ?そんな冗談言ってられるのは……すぐに、そんなこと言う気なんて粉微塵にぶっ壊してあげるから」  朔が歪に顔を歪めて笑みを作る。笑おうとしたのに失敗した笑顔って感じだった。