対話
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対話

 「……何でそれをわざわざ俺に教えたんですか?」  朔の言葉を受けて、まず俺が思ったのはそれだ。  何故俺に宣言したんだろうか?  「何でって、心の準備しておきなよって伝えようと思って」  「でも、虐待するなら普通言わないです」  「普通はそうかも知れないけど、僕と君のはビジネス虐待だから」  「……ビジネス虐待」  なんだその造語。  物騒な言葉でもビジネスって付けるとスマートな感じになるのか……。  そんな下らない事を思った後で、ああだから昔、朔は俺を『可哀想』にするって言っていたのかと納得した。  なんだか朔の言うことにいまいちリアリティを感じられなくて、俺はぼけっと朔の顔を見ていた。  朔の瞳からは、もうあの闇は立ち消えている。  「君、言われていること分かってる?」  朔が呆れたように言って、頬杖を付いた。  「理解しているつもりです」  ただリアリティが無いだけで。  「いや、分かってたらそんな態度にならないでしょ?僕はこれから君のことを殴ったり、蹴ったり、こき使ったり、放置したりするんだよ?」  朔が、俺を殴ったり、蹴ったりする。  あんまり想像できない。  こき使うのと放置はあり得そうだけど。     
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