セピア色の硝子片

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佐野(さの) 洸大(こうだい)です。以前は居酒屋でバイトしてました。よろしくお願いします!」  押しに押される形で雇うことになった佐野が、夏を感じる元気さでそう告げてから2週間。  接客経験があるためか、スムーズに研修期間を終えた彼は 「俺のおすすめ? うーん、そうだなぁ……」  常連の女性客と一緒にメニューを覗き込むほど、[Sea flower]の店員として馴染んでいた。 ──ホント、人懐こいなぁ……。 「才能ですね、あれも」  曇空ゆえに比較的空いてる店内をぼんやり眺めていた花御は、食器の音ともに頭上から降って来た声を追って視線を上げた。  短い尻尾となったオレンジ寄りの茶髪が揺れる。
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