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「女の子! って感じですよねぇ」
見つめる先に姪の姿が見えているみたいに、彼が緩みきった瞳を細めて柔らかく笑う。よほど可愛がっているのだと分かるその様に苦い笑みを浮かべた花御は、
「きっとお土産も気に入ってくれますよ」
本題へと促す言葉をかけながら、カウンターの内側へと回った。ビターチョコのような青年の瞳が、目の前の情景を正しく映して2度瞬く。
「どれになさいますか?」
「えっと、このプリンアラモードを5つ。お願いします」
幼さが覗く仕草とは裏腹に骨張った指が、ショーケースの右端に落ち着くプリンを指差す。
扇子みたいに広がった林檎と、月のようにカットされたオレンジ。小さく控えめなキウイを飾る真っ赤なチェリーが、喜ぶように柔らかく光った。
「最近、不思議の国のアリスを見たみたいで。今は出かけるたびに兎を探してるらしいです」
苺色のワンピースを着た白うさぎが描かれたカップに、青年がくすくす笑い声を漏らす。
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