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緑の少ないこの都会で時間に追われる兎を探すなんて、なんとも純真無垢な話だ。
花御は幼いからこその無邪気さに表情を和らげ、規定の白い箱を取り出した。
「お時間、どれくらいですか?」
マニュアル通りの疑問に対する返答を受け、保冷剤を用意する。プラスチックのスプーンと一緒に、カップの縁に沿うようにして入れた花御は、
「スタッフ募集、してるんですね」
「はい?」
先程の続きのような気軽さで問われたそれに、すぐには反応が出来なかった。
レジ下に貼っている求人広告を指差す青年に、花御が数秒遅れで眉を下げる。
「えぇ、そうなんです。なかなか決まらなくて、困ってるんですけどね」
ぱくんと口を閉じて、店名がプリントされた透明の袋に、傾かないよう、そっと箱を入れる。持ち手を整えて青年に向き直った花御は、袋を手渡しながら金額を告げた。
「俺とか、どうですか」
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