~帰郷~

6/41
前へ
/731ページ
次へ
それから数十分後。 2人の所に嵐がやってきた。 嵐「悪い、待たせた」 勝也「ぉう。どうだった?」 彩乃「これだけ待たせておいて何の収穫も無いって言うのは無しよ?」 嵐「それに関しては問題無い。とりあえず外に出ようぜ?久々にずっとパソコンやってたら頭痛くなった」 嵐の提案を受け入れ、会計を済ませて3人は外に出て、近くの公園に移動した。 そこで人気が無いのを確認して、ボックスから自分のパソコンを取り出した。 そして魔力で動くコピー機を創造し、ネカフェでコピーした資料を次々とコピーしていく。 勝也「わぁお…」 彩乃「これ全部が例の資料…?」 嵐「あぁ。新聞から週刊誌、月刊誌…都市伝説とか怪奇現象なんかを取り扱ってるありとあらゆる会社の情報をコピーしてきた」 そう言ってるそばから次々とコピーされた資料がコピー機から出てきて、コピーが終わるまで15分ほどの時間が掛かった。 嵐「まぁ、これ全てに目を通せとは言わない。ただ、その資料を纏めた結果だけ言うなら、地球で確認されてる空間の歪みや発光は、空間魔法によって起こるもので間違い無い。都市伝説を専門に扱ってる月刊誌の記者のパソコンから、こんな写真が出てきた」 そう言ってパソコン画面を2人の方に向けて1枚の写真を見せる。 そこにはかなり荒い画質だが、地球のどこかで撮られた1枚の写真の中心に、リスクラで育つ植物が写っていた。 嵐「その記者は写真データと一緒にコメントを残してあって、「地球上にこんな植物は絶対に存在しない。これは別の世界の存在が確認された貴重な1枚だ」って感じで書いてあった」 勝也「ただの地球人なら信じない話だろうが、俺達はこの植物が別の世界の物だって知ってるし、なぜその別の世界と地球が繋がってるのかってのを知ってるから何とも言えないな」 彩乃「問題はそこじゃないでしょ?カメラで撮れるくらい人間の近くに空間を繋げてるって事が問題よ」 嵐「そうだ。今のご時世、多少は拡大してもそこまで画質が荒くなる事は無い。ネットで貼られてる写真は画質が荒くて、遠くからかなり拡大したって分かる。けど、時と場合によっては何の植物なのかハッキリと認識できる程度の拡大で済むような距離に空間が繋げられてるって事だ」 勝也「つーことは、既に地球人がリスクラに行ってる可能性も否定は出来ないって事か」 彩乃「そうね」 嵐「それに関しても少しは情報がある。空間の歪みが確認されてから関東地方で行方不明になった人間を調べて、可能な限りで行方不明になったであろう場所を調べた。その中で海や山なんかの人気の無い場所で行方不明になったと思われる人物は138名。その内の122名は発見されてて、残りの16名はいまだに発見されてない」 彩乃「全員じゃないとしても何人かはリスクラに…っていうのはありそうね」 嵐「あぁ。ただ問題は、リスクラには地球ほど情報を収集する術が無い。情報屋を頼るにも身元不明の人間なんてリスクラには数え切れない程に居るし、その中から地球人を探すのは難しい」 勝也「その事に関しては詰んでるって事か?」 嵐「時間を掛ければ何とかなるだろうが、その時間が俺達には無いからな」
/731ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5224人が本棚に入れています
本棚に追加