~帰郷~

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嵐「この辺りのはずだが…」 太陽「魔力探知…お兄ちゃんは魔力持ってないから無理か。気配だけで探れそう?」 嵐「探すしかねぇだろ。集中するから静かにしててくれ」 太陽「分かった」 嵐「スゥー…ハァー………スゥー……ハァー………」 太陽(凄い集中力…) 嵐「………………(ピクッ)」 太陽「ど、どう?」 嵐「たぶん見つけた。山頂付近はモンスターも出ないんだが、麓に近付くとモンスターが出てくるようになる。そしてそれっぽい人はもう少しでそのモンスターが出てくる辺りに入る」 太陽「方角は!?」 嵐「南東に5.8kmだ!」 太陽「ッ!」ダッ!ボゴッ! 嵐「転移とかゲートの方が早いっつのに、あのバカ…!」ダッ! 方角を聞いた太陽はすぐにその方角に向かって走り出し、嵐もそれを追うように走り出した。 数秒後 太陽「ハァッ!ハァッ!ハァッ!こ、この辺りのはずなんだけど…ハァッ…ハァッ…ハァッ…」 嵐「おい、急に走り出すなよ。何で転移とか、俺のゲートを使わない?」 太陽「あ、アハハ…居ても立ってもいられずつい…」 嵐「とにかくもう1回気配を探るから、それまでに息を整えとけ」 太陽「ぅ、ぅん」 嵐「……………いいか、今度は走り出すなよ?ここからはモンスターも出てくる。下手にモンスターを刺激しないよう、慎重に進むぞ」 太陽「わかった」 嵐「東に進んでる。辺りにモンスターの気配は無いからとりあえず安心しろ」 そう言って足音を立てないよう、慎重に、しかし少し急ぎ足で気配を追いながら距離を詰めてく嵐と太陽。 嵐「居た。……木の棒を振り回して草木を掻き分けて進むとか、なかなか冒険チックな事してんなw」 太陽「そんな事言ってる場合じゃないでしょ。お兄ちゃんで間違いないの?」 嵐「後ろ姿だけだから何とも言えん。魔力も無いから探れないし」 太陽「じゃあ行って確かめてくる」 嵐「はいよ」 「クッソー、いつまで歩けば人の居るとこに出んだよ。もう何時間歩いてんだ?日も落ちてきてるしよー。野宿とか勘弁だぜ?」 ガサガサッ! 「!?な、なんだ!?獣か!?人なら返事してくれ!」 急な茂みの揺れる音に童謡する人物の所へ、茂みから太陽が顔を出した。 太陽「人です!」 「人!?マジでか!?本当に人か!?」 太陽「あ…あぁ……!」 「お、おぉ…?何でそんなに泣きそうな顔してんだ!?な、なんだ!?オッサンも迷ってんすか!?」 太陽「お、おっさ!?…そっか、僕はもう40手前だもんね……皆には変わらないって言われるけど、久々に会うと変わって見えるよね…」 「久々に…?えっと…」 太陽「僕、太陽だよ…お兄ちゃん」
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