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遥「俺だって1つのチームの頭やってた人間だし、仕事でも若い奴から年寄りまで、色んな人間を見てきた。ましてや鳶職なんてクセが強い人間ばっか集まるから、尚更色んな人間を見る機会がある。それこそヤーさんみてぇなヤベェ人だって居る。けど、今の遥はそんな奴らの誰よりも強くてヤバい眼をしてる」
遥「私を見てそう思ったなら、太陽くんや嵐くんを見た時はどうでしたか?」
雅「アイツらは前に地球に来た時から変わんねぇ気がする。何をするにも全力で、太陽が抜けた事すりゃ嵐坊が指摘して、嵐坊が暴走したりすれば太陽が落ち着かせて、お互いの脆い部分をカバーし合ってるように思うよ」
遥「流石によく見てますね」
雅「実弟と、その弟と同じくらい可愛がってた後輩だからな。つっても、俺は好き勝手やってテメェの都合で家を出て、弟を見捨てたようなもんだけどさ」
遥「太陽くんは雅さんが大好きですし、見捨てられたなんて思ってないと思いますけどね」
雅「だと良いんだけどな」
結愛「雅さん」
雅「ん?」
結愛「太陽のおじさんって昔はどんな人だったんですか?」
雅「真面目で優しくて成績は超優秀な、優等生って言葉がピッタリの奴だったな。本当は親父の顔色を伺って、狭い世界で生きてただけなんだけどさ。それから嵐坊と出会って、少しだけ遊ぶ事を覚えた頃に俺は家を出た」
結愛「今はどう思いますか?」
雅「老けた。まぁ40にもなりゃ当然なんだろうな。でも中身は変わんねぇと思うよ。どんだけ人相が変わろうが、眼は昔のまんまだったしさ。真っ直ぐで優しい眼だった」
結愛「ふふっ(笑)」
雅「何で笑う!?」
結愛「あ、ごめんなさい(笑)太陽のおじさんの事を話してる雅さんを見てて、凄く優しい表情になってて、太陽のおじさんとそっくりだなって思って」
雅「…アイツとそっくりだなんて、久々に言われた気がするよ」
結愛の言葉を聞いて、雅は嬉しそうな悲しそうな、微妙な表情になってしまった。
結愛「えっと…言っちゃマズかったですか?」
雅「そうじゃねぇよ。似てるって言われたのは嬉しいし。けど、親からは「太陽は優秀なのに何でお前は」って言われ、仲間からは「弟は真面目なのに」って言われる事の方が多かったからさ。仲間から言われんのは冗談混じりだけど、やっぱり気にはなるわけでさ。こんな兄貴で不甲斐ないって思う事もあるし」
結愛「太陽のおじさんはどんな雅さんでも大好きでしょうし、胸を張って自信を持って、俺は太陽の兄貴だって言って大丈夫ですよ。それで雅さんの事を悪く言う人が居れば人を消すくらい太陽のおじさんなら簡単ですから(笑)」
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