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雅の言葉を聞いた太陽は、何故か嬉しくなり、その嬉しさから悪魔のような事を言い出した。
太陽「そっかー。じゃあ今のお兄ちゃんがしても大丈夫な無茶の限界を僕が教えるよ」
雅「……お前が相手するって事か?」
太陽「ぅん。ここまで僕は口だけ動かしてる嫌な奴だし、少しは身体を動かさないとね」
雅「…ここでゴネたら嵐坊の時みてぇになりそうだし、大人しく相手してもらうよ」
太陽「そんな中途半端な気持ちなら殺すよ?」(軽い殺気)
雅「…あぁ、分かった。俺もその気でやるよ」
太陽(ぅーん…どんな相手でも瞬時にスイッチを切り替えられるようにする特訓も必要かなー。まぁそれは後で考えるとして、今はお兄ちゃんの限界を引き出さないと)
そして2人が向かい合い、雅は拳を構え、太陽は自然体で立つ。
雅(特に構えてるわけでもないのに隙が全く無ぇ…。下手に攻め込めば瞬殺されるってのが分かる)
太陽「馬鹿正直に突っ込んでくるかと思ったけど、結愛ちゃんとの模擬戦で少しは経験を積んだみたいだね」
雅「攻め入る隙が全く無ぇよ。世界を救った英雄だし、めちゃくちゃ強いんだろうなとは思ってたけど、ここまでとは思ってなかった」
太陽「これでも現役の時よりは弱くなってるんだよ?嵐とこの前やった試合も負けたし…いや次は勝つけどさ」
雅「お前の負けず嫌いは昔からだからな。けどさ、俺が出来る無茶の限界を知りたいし、少しは攻めさせてくんね?」
太陽「あ、そうだね(笑)あくまでお兄ちゃんの限界を引き出すのが目的だし、勝ち負けに拘らず好きに攻めて来て良いよ」
そう言って柔らかい雰囲気になった太陽は、先程までと違い隙が多く、雅でも攻めやすくなった。
そして雅は呼吸を整えて力強く地を蹴って太陽に殴り掛かる。
それから数十分後。
無傷で息切れすら起こさず平然としてる太陽と、全身傷だらけでゼェゼェと苦しそうに息をして地面に倒れ込む雅。
そして倒れてる雅の腕は普通なら有り得ない方向を向いており、ピクッとほんの少し動かそうとしただけで激痛が走っていた。
太陽「今のお兄ちゃんなら全身の骨折が限界だね。結愛ちゃん、模擬戦をする時はこのくらいを目安にお兄ちゃんをボコボコにしていいよ」
結愛「加減してるとそこまで出来ない気がするんですけど…」
太陽「それは結愛ちゃんの経験だよ。このくらいの強さで加減すれば出来るっていうのを覚えないと」
結愛「やれるだけやってみます」
太陽「とりあえずお兄ちゃんの治療をして……あ、それとお兄ちゃんはもう1つ、やらなきゃいけない特訓があるんだよね」
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