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特訓を終えて王城でお茶をする事になった3人。
太陽「さてお兄ちゃん」
雅「んー?」
太陽「今日1日、結愛ちゃんと模擬戦してどうだった?」
雅「やっぱ経験が違うなって思った。俺が本気で攻めても軽く対処されるし、焦って力加減間違えたって思っても余裕で対処されて……正直、年下の、それも女の子相手だしめちゃくちゃ凹む」
太陽「まぁこの世界では歳とか性別なんて関係無いからね」
雅「そうなんだけどさ。でもまぁ1番実力差を感じるのは最後の瞬間だな」
太陽「最後の瞬間?」
雅「俺達の模擬戦は寸止め決着だろ?最後のトドメの瞬間、結愛ちゃんは迷いの無い真っ直ぐな目で俺を見てるし、本当に紙一重ってくらいギリギリに刀を突き付けてくるんだ。俺が運良く勝てる瞬間なんてチキって拳1個分くらいまでしかくっ付けらんねぇのに」
太陽「それは嵐の教育だね。殺すなら迷うな。迷えば自分が死ぬ。結愛ちゃんが…いや、嵐自身がこの世界で生きてくって決めた時からずっと言ってる事だよ」
雅「お前もそう思うか?殺るなら迷うなって」
太陽「思うよ。出来れば殺しなんてしたくないし、話し合いで解決できるならそうしたいけどね」
雅「本心がそれでも殺る時は殺るんだな」
太陽「そうしないと生きていけない世界だからね。地球とリスクラっていう世界の違いでもあるけど、自分自身が身を置いてる世界の違いでもあるよ」
雅「堅気と裏の人間みてぇなもんか。そんな世界に何十年と身を置いてりゃ強くなるわけだ」
太陽「少しは実感してるよ。でも僕はまだまだこれからだよ。一人じゃ何にもできないし、色んな人に迷惑をかけてるし」
雅「一人で生きていける奴なんて居ねぇよ。お前には頼もしい仲間が居るだろ?」
太陽「…あれ?何か、誰かに言った事をそのまま言われてる気分なんだけど大丈夫かな?」
雅「知らねぇよ(笑)けどまぁ、俺の知ってるお前と違って、仲間が居るんだ。何かあったら頼っても良いんじゃねぇか?嵐坊も居るし、お前は一人じゃねぇんだから、もっと周りに甘えろよ」
太陽(嵐もこんな感じだったのかな…。一人じゃ何にもできないって分かってても皆に迷惑かけられないって気付いたらあれもこれもって一人で全部を抱え込んで…)
結愛「どうかしたんですか?そんなに難しい顔して」
雅「まだ何か抱えてんのか?」
太陽「あ、ううん。昔の嵐もこんな感じで知らず知らずのうちに一人で何でも抱え込んでたのかなって思ってさ」
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