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嵐side
街の外れにある山の頂上
嵐「………この辺なら大丈夫か。外れてほしい予想だけど、どうなる事やら…」
辺りを見渡し、人の気配が無い事を念入りに確認した嵐は集中力を高めて超広範囲で魔力探知を掛ける。
嵐「……………なるほどね…。やっぱこういう時の予想は当たるんだな。魔闘祭の頃から何となく違和感はあったけど……さて、どうしたもんかね」
魔力探知に何かが引っかかった嵐は、眉間に皺を寄せ、難しい表情をしながら魔力探知を解く。
嵐「…アイツが魔力探知の薄い魔力に気付くのは無理だろうし、今の魔力探知に気付いた様子も無いから俺が探ってる事はバレてないだろうからこっちは心配ないな。とりあえず太陽に報告してどうするか話さないといけないな。いや、先にナニルに話して情報を集めて裏を取ってから太陽に報告するか」
そう言った嵐はナニルの魔力を探知して念話を繋げて欲しい情報があると話をして、なるべく急いで調べて欲しいという事を伝えた。
そしてナニルもふざけた様子ではない嵐の話を聞いて、最優先で情報を集めると言って念話を切った。
嵐「…情報の内容によっては太陽に報告してこっちから攻める事になりそうだな」
最後にボソッとそう呟いてゲートで自宅に戻った嵐。
自宅
ガチャ
嵐「ただいまー」
クリナ「おかえりなさい」
嵐「クリナ、ちょっと話いいか?」
クリナ「ちょっと待ってね」
そう言ったクリナはお茶を用意してソファに座った。
クリナ「はい、どうぞ。それで話って?」
嵐「ありがと。色々と纏まって確定してから話そうと思ったんだけどさ」
帰って来た嵐が真剣な声色と表情で話をしだした嵐を見てクリナも真剣な表情になって話を聞く。
クリナ「どうしたの?」
嵐「勇者擬きの事なんだけど、もしかしたらこっちから攻め込む事になるかもしれない」
クリナ「何か新しく分かった事があるの?」
嵐「魔闘祭の時からある奴に違和感があって、ついさっき時間が出来たから軽く調べに行ったらほぼ確定。それで裏関係も調べたいからナニルに頼んで情報を集めてもらってるんだけどさ」
クリナ「ほぼ確定で詳細を話してくれないって事は変に警戒して欲しくないって事?」
嵐「あぁ。この話はまだ太陽にも報告してない。ナニルからの情報で裏取りをして、それから太陽に報告してどうするかを話したいと思ってる」
クリナ「そう…。今まで受けの姿勢だったのに、いきなり攻めに転じるって、相当な事が起きてるの?」
話が一段落したと思い、用意したお茶を飲みながら質問をしたクリナ。
嵐「俺が探ってる事を気付かれれば今この瞬間に戦争を仕掛けられてもおかしくねぇ状態」
ブフーッ!
クリナ「ケホッケホッ!そ、そんな状態で何でのんびりお茶してるんですか!?」
嵐「向こうも下手に手出し出来ないからだよ。中途半端な状態で手出しすれば負けるって事くらいは理解してんだろ。だからこそ向こうの準備が整う前に攻め込みたいんだ」
クリナ「何でそこまでしてこっちから攻めたいの?魔神の時みたいにはできないの?」
嵐「あの時は世界の事情もあったし、日時はお互い話し合って決めたからどうとでも出来た。けど今回は向こうがいつ来るかも分からない。それなら少し急ぎ足でこっちの準備を整えて攻め込みたいんだ。それに理由はもう1つある」
クリナ「なに?」
嵐「向こうから攻め込まれた場合、街中でいきなり事を起こされる可能性が高い」
クリナ「……どういう事?あの人達はセントに入れないんじゃないの?」
嵐「この前話した件あるだろ?アレはもう確定してる」
クリナ「じゃあ嵐が調べたって言うのは…」
嵐「そう。アイツがセントのどこに居るか…いや」
嵐「セント国内の誰の中に居るか、だ」
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