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3人が雅の所に着くと、既に10数匹のウルフの死体が転がっており、雅はドラゴンと向き合っていた。
しかしおかしな事に雅はドラゴンと向かい合ってはいるが、構えてはいない。
そしてドラゴンも雅を敵として見てないのか、落ち着いた雰囲気でその場に居る。
太陽達に気付いた雅がドラゴンに背を向けて笑顔で手招きをする。
その様子を見た太陽達は事情を聞くために駆け寄って説明を求めた。
太陽「どういう状況?」
雅「簡潔に言うと、このサンダードラゴンは用事が済んだら元々居た場所に帰るそうだ」
結愛「用事?なんでそんな事が分かるんですか?」
雅「周りの狼共をぶっ飛ばしたら深々と頭を下げられて、警戒してたんだけどいつまでも頭を上げないから少し警戒を解いたら頭の中に声が響いてな。事情を聞いたら病気で弱ってて薬草を探すのに人里近いこの辺に下りて来たらしいんだ。そしたら身体の自由が効かない中でウルフに襲われてどうしようも無かったらしい」
大翔「いちおうそのドラゴンは討伐対象ですよ?」
雅「あぁ、その辺りは説明した。そしたら潔く俺の目の前に首を差し出したよ。でも病気で弱ってて、ただ薬を探しに来ただけだぜ?わざわざ倒さなくても良いだろ。太陽ならこのドラゴンの病気に効く薬草も分かるだろ?それが手に入って身体が動かせるようになれば帰るってんだからそれで良くねぇか?」
太陽「なるほど、そういう事か。……薬草なんか要らないよ」
雅の言葉を聞いた太陽は魔力を練り上げ始めた。
雅「待てよ!倒す必要はn(ボォオォォッ!)aい…太陽、テメェ!」
雅の言葉を聞かずに太陽は容赦なく練り上げた魔力をサンダードラゴンに向けて放つ。
そんな事をする太陽に対して雅は思わず殴りかかろうとするが、雅が太陽に勝てるわけもなく、軽く腕を捻られてドラゴンの方に顔を向けられる。
太陽「落ち着きなよ。誰も倒すなんて言ってない」
大翔「父さんの言い方も悪いだろ」
結愛「薬草なんか(僕の白炎があれば)必要ない。間が抜けすぎですよ」
太陽「ほら、お兄ちゃんがどんな覚悟で討伐対象のドラゴンを助けようとしてるのか試さないとさ。逃がしたとなると後の手続きが面倒だしさ」
雅「だとしても燃やそうとしなくても良いじゃねぇかよ…マジ焦った」
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