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☆
退社してすぐに、千晃と優月は駅に向かった。そこから二人はいったん別行動をとることにした。
千晃が実家まで心暖を引き取りに行く間、優月には、一足先に地元駅に向かってもらった。その目的は、地元洋菓子店の人気スイーツ、ロールケーキだ。
出向中は、帰宅時間の関係で厳しいだろうと諦めていたのだが、直接向かってもらえば、間に合うかもしれない。
心暖と一緒に電車に揺られていると、ポケットの中でスマートフォンが振動した。ダウンロードしたばかりのメッセージアプリに、優月からの連絡が入っている。
『Y.Narisawa:ちゃっきー、北口の改札で待ってるね。ミッションコンプリート! くるくる×3ゲット。買ったやつが最後だったよ』
『Chucky:あざす。こっちも親が駅まで心暖つれてきてくれたので、うまく急行乗れました。あと3駅』
狙い通りだ。千晃は返信をしてスマートフォンをしまう。
「パパ、どうしたの?」
心暖がジャケットの裾を引く。こちらをじっと見つめていた。
「ん? なんでもないよ」
「だって、いまパパわらってたよ」
千晃は思わず口元に手を当てるが、そういう心暖の方こそ、見ているこちらの疲れが飛びそうなほど、朗らかな笑みを浮かべている。
「心暖、今日はいいことあるかもしれないよ」
「いいことってなあに」
「さあ、なんだろう」
新しくできた友人は、心暖に会ったらどんな反応をするのだろうか。テンションの上がった優月の姿が、簡単に思い浮かんでしまう。
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