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会社が、本来主な仕事であるべきはずの、グループ企業向けの部門に力を入れないのは、継続的な取引が約束されていて、納期コストの縛りが緩やかだからだ。
そして、売り上げが好調な外部企業向けの部門に優秀な人材を回していった結果、異動のたびに部門格差が生じていった。今はそれを会社側でも完全に割り切って、ライフワークバランスへの取り組みという体で、線引きした。
二十四歳という年齢を考えると、これからキャリアを積んでいかなくてはならないのだが、千晃はこの会社を辞める気は毛頭なかった。
上場企業のグループ会社で、他社に比べて給料条件に恵まれていること。SEでありながら、残業、休日出勤がないこと。要は、楽で給料がよく、ノルマもない上に見栄えだけは抜群、そういうことだった。
千晃は足を急がせながら、道中何度も時計を確認した。なんとしても十八時八分発の電車に乗りたかった。千晃にはこれからすぐに向かわなくてはならない場所があった。
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