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「こうやって六年ぶりに連絡してきたってことは、聞かなきゃいけないことなんだよね」
「すいません。三月さんに付き合っている人がいるなら今更こんな話ほじくり返してもしょうがないんですけど…玲司さん泣いてたから」
「えっ何で…?」
視線を落とすと、ブラックコーヒーに自分の顔が写っている。
「玲司さんがこっちに戻って来る前、部屋探しに来たとき久しぶりに飲んで。離婚原因は奥さんの浮気なんですけど、そのとき大喧嘩して言われたそうです。」
「何て…?」
「本当は子供なんかできてなかったのに責任取って結婚してバッカみたいって。
元奥さん四歳年上で、入社したとき玲司さんの教育係だったんですけど、年齢的に結婚したくて焦ってたみたいで。
玲司さんに片思いしてたけど三月さんと別れる気配がないから既成事実を作ろうと思って、飲ませてホテルに行ったんです。記憶にないくらい飲んだら物理的にそういう行為はできないと思うんですけど、しばらくして妊娠検査薬の写メ見せられて結婚してって迫られて。結局その写メも友達が妊娠したときにSNSに載せてたやつだったらしくて」
三月さんの顔が険しくなっていたけど、最後まで言うことにした。
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