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予測通り、利政は自分のことを見透かしている。それに対する苛立ちもあるが、今はそれにも勝る苛立ちに涙が滲んだ。
「…誰もが」
「はい」
「誰もが、私が女子だからと舐めてかかる」
「…はい」
「誰も、私と対等に闘ってはくれない」
自分がもし男であれば、舐められることなどないだろう。それだけの腕があると自負している。
だが、私は女だから。
誰もが、幼子を相手にするように、あるいは自分より弱き者を相手にするように、笑いながら、自分と対峙するのだ。手加減してやらねば、へそを曲げるだろうと。
そんなもの要らない。手加減など必要ない。
それで、負けたとしても、それは自分がそこまでの腕を持っていないというだけなのに。
「男であれば、皆と同じようになれるのに」
「…そう単純なものでもないですけどね」
利政の小さな呟きを聞き取れず、首を傾げて促したが、利政は笑って首を振るだけだった。
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