恋するバツゲーム

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 光紀に視線をやるが、奴は頭の上で腕を組んで静観している。最初から俺に聞かせる気だったのか。 「ごめん。謝ってすむことじゃないけど」  ぎゅっと佐藤が両手を握りしめるのが見えた。 「佐藤はなんでそんなことしたんだ?」  佐藤の気持ち。それを知りたければ来い。  光紀からのメッセージにはそう書いてあった。  こんなことをした理由。そこに、佐藤の気持ちがあるはず。  そして、それが俺の希望と自惚れどおりならば。 「だって!」  佐藤が顔をあげて、ゆっくりと肩を下ろしながら俯いた。 「小林くんには、関係ない」  光紀が後ろで肩を竦める。 「光紀には言えるのに、俺には言えないの?」  俺の言葉に佐藤が首を強く振る。おさげが揺れて佐藤の頭のてっぺんだけが見える。佐藤は、俺の目を見ようとしない。 「違う!」 「違わないだろ。なんで俺には遠慮してんだよ」 「……緊張するの」 「緊張?」 「仕方ないでしょ! 緊張するんだから! だから、デートだっていっぱいいっぱいだったし、小林くんみたいに余裕ないの! もう別れたんだからほっといてよ!」 「あ! さと――」  佐藤は声を張り上げると、そのまま俺の横をすり抜けて走っていってしまった。  あの時のデートの時みたいに、あげた手が宙で止まる。 「ドンマイ」  光紀が俺の肩を叩く。大きなお世話だ。     
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