恋するバツゲーム

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「やー、俺、クラス委員じゃん? 地味子さんもクラスに溶け込んでほしいんだけど、妙案が浮かばなくてさー」  光紀がナゲットを口に放り入れる。  確かに、佐藤はクラスのみんなと仲良くするようなキャラでもない。休み時間は一人で本を読んでいるし、お昼休みは本を読みながらパンにかぶりついている。帰りは速攻で、電車の中でこの前見かけた時は、本を読んでいた。 「けど、別にいじめられてるわけでもないだろ? あれはあれで、あの子のキャラじゃん。無理して溶け込ませなくても良くない?」 「わかってないなー、颯斗は。いじめられてなくても、今後のクラス活動を考えると、馴染めてた方がいいだろ。体育祭も文化祭も修旅もあるし、クラスの誰かが地味子さんと親しい方が何かとまとめやすいじゃん」  本音は最後の方か。  颯斗はオレンジジュースをずずっとすする。  なにかとチームやグループであることを求められる高校特有の行事だけれど、誰か一人でもそうやって浮いているやつがいると、とたんにクラス内の士気が下がる。決めたいことも決めきれない。じゃあ、自分の目の届く範囲で手綱をにぎる人物をあてがおう、と。滔々と語る内容を要約すると、そういうことらしい。 「そんなら、お前がやればいいじゃん。てか、告白とかじゃなくてもいいし」     
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