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「俺は、歩美という可愛い彼女がいるからねー。それに、普通に友達になろうとか言っても、嫌だって言われそうじゃない?」
「それは、告っても同じなんじゃねえの?」
もう、オレンジジュースがない。俺は、蓋を開けて、ガリガリと氷を噛み砕く。
「だから、颯斗には、みんなの前で告ってほしいんだよな」
「はあ?」
氷を噛み砕くのを止める。なんだそりゃ。
「ああいうタイプは絶対押しに弱いからさ。付き合えくらいの勢いで行けば、万事オッケーだって」
「いや、オッケーでも困るっつってんの」
「彼女いない歴17年の底力を見せてやれ」
「殴るぞ」
鼻歌でも歌いそうな光紀に氷をぶっかけるか、本気で悩んだ。
結局、お店の人を困らせるだけ、という真っ当な常識が発動したので、修羅場みたいなことはせずにすんだ。
男二人で修羅場とか、噂になったらマジで困る。
「じゃ、今週中になー」
そうやって手を振る光紀はデートらしい。やっぱり氷をかけておいた方が良かったかもしれない。
「どうすっかなー」
そもそも、どうやって告白するのか。佐藤を呼び出したら、それだけで目立ちそうだし、っていうか来てくれなさそう。
まあ、ぼちぼち考えよう。
俺は、青い空を見ながら思いっきり伸びをした。
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