恋するバツゲーム

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「それができるなら、最初からしてる! それに学食のことは関係ないでしょ!」 「甘口カレーしか食べられないお子ちゃまなのに無理するからだ」 「うるさい! バカ! 歩美に振られちゃえ!」 「バッ! おまえ、それは禁句だ!」  佐藤の学食の秘密はそういうことなのか。事情がうっすらと透けて見える。けれど俺の気持ちはモヤモヤしてくる。佐藤は、俺にあんな風に話してくれたことはない。  ヒソヒソしていたはずの声はボリュームが大きくなって、もう耳をつけなくとも十分に聞こえる。俺は、教室のドアに背を向けて座った。  結局、光紀は何をしようとしていたんだ?  そうやって考え込んでいたから、気づくのが遅れた。 「おい! どこ行くんだよ!」 「トイレ! いちいち聞かないでくれる!?」  気づいた時には、佐藤がすごい勢いでドアを開け放っていて。 「……よう」  思わず振り向いた俺と佐藤の目線が真正面からぶつかる。佐藤が固まった。 「……聞いてた?」  佐藤が俺からぎこちなく目線を外す。 「まあ」  俺は、ゆっくりと立ち上がって、手慰みにズボンの後ろをはらう。 「どこから?」 「だいたいは」  佐藤が唇を噛んだ。 「なあ、俺って騙されてたの?」     
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